「お寺からつながるグリーフサポートin東京」レポート

「お寺からつながるグリーフサポートin東京」令和2年11月20日

昨年(2019年)12月より、リヴオン主催の「僧侶のためのグリーフケア連続講座、東京講」が開催され、全6回の講座を経て、一人ひとりが自分の言葉でグリーフについて伝える力を身につける。ケアのベースに必要な「あり方」を養う。それぞれの現場や日常での取り組みや実践につながっていく。の3点をゴールとして宗派を超え20名の寺院関係者が約1年学び、本年(2020年)11月20日、東京都荒川区にある泊船軒(受講生かよっちこと後藤佳代さん)をお借りして、「お寺からつながるグリーフサポートin東京」修了プレゼンテーション&交流会を行いました。

 

東京都荒川区町屋 泊船軒さま
連続講座の様子(第1回)
連続講座の様子(第4回)

 

 

 

 

 

 

※連続講座は本来ならば半年で終了する予定でしたが、コロナの影響により1年間になってしまい、途中からは、現地とオンラインを繋ぎながら講座を続けてきました。

●では、11月20日に開催しました「お寺からつながるグリーフサポートin東京」をレポートしていくとしましょう。
当日は会場参加組とオンライン参加組の併用開催。受講生も会場とオンラインとになりました。会場参加組は16時から全員チェックインをして打ち合わせを行い、各担当役割の準備を行いました。オンライン参加組は接続確認したり準備をしたり現場との調整をしました。

 

受付
ネームカード記入

●ドキドキの中での開会
18時、リヴオン代表てるみん(尾角光美)の鳴らすチベタンベルにて始まりました。
この場で大切にしたいこと(グラウンドルール)を語り、「体や心を大切にして、過ごしやすい時間を」と話されました。現場に居ない方も合わさって、「つながりが感じられるような一体感を大事にしたい」というリヴオンらしい和やかなスタートとなりました。

鳴り響くチベタンベルの音             

●チェックイン          
受講生尚志(田邉尚志)さんがFT(ファシリテーター)で、チェックインの説明の後、現地は各テーブルごと、オンラインは事前に振り分けしたグループごと行われました。 チェクインにて笑いと笑顔がこぼれ、ほのぼのとした時間が過ぎていきました。
最後に、現地とオンラインが繋がるチェックインとして、今の調子を全員が親指であらわすアイスブレイクが行われました。

会場の緊張はさらに解けて、皆が自然とこの場へと馴染んでいきました

●全6回の講座紹介
受講生を代表して、かよっち(後藤佳代)さんが全6講の概要説明してくれました。グリーフとは何か。大切な人や物などを失うことにより生じる自然な反応、感情、プロセスであると柔和な表情で語られ、「グリーフisノーマル。グリーフを波に例え、嵐の日もあれば穏やかな波の日もある。よせては起きる波に上手く乗ることがグリーフと共に生きること」とグリーフについて表現されました。 最後に、「気づきを共有し、参加者の皆さんと共にグリーフサポートの輪を広げていきたい」と力強い気の入った言葉で結ばれました。

講座受講の時とは違った雰囲気のかよっちさん、、本番に強い‼

●学習発表(Before&after、学ぶきっかけ、学んだことによる自分の変化)
受講生のこぼちゃん(川手正順)が、オンラインで発表。 自身が抱えていたグリーフについて優しい口調で語られ、短い発表時間と感じさせないこぼちゃんワールドが参加者を魅了し、参加者一人ひとりが引き込まれました。
「自分のグリーフと向き合えた深さは、他者のグリーフと向き合える深さ」と気づきを話され、「すべてが良いことにつながると信じる」と気づきから得たことも話されました。

学びに対する真摯な姿勢と優しさが画面越しから溢れていました

●企画発表(学びを通して、これから具体的に実現していきたいこと)
休憩をはさみ、受講生2人による企画発表‼
★はじめに受講生よりちゃん(近藤順子)が発表。
「セルフケアができる優しいお寺をつくりたい」をテーマに、身振り手振りを交えた熱意あふれるトークがされ、ありのままに表現できる場、しんどさを和らげる場、ひとりで抱え込まない場、といった主旨の場を作りたいと熱く語られ、その熱意は受講生の背中を押してくれるようでありました。
質問の時間では、愛のある激励もあり、お寺での今後の活動が楽しみです。

最初は受講の時とは全くの別人‼ 、少し緊張気味でしたが、 次第にいつものよりちゃんに復活。やはり凄い‼

★2人目に受講生ぜんちゃん(中道善信)が発表。
「私の第一歩」と題して発表されました。今回受講した模擬の講座に感銘を受け、グリーフケアの会を、まず真似るからスタート。お寺での「分かち合いの会」を早々に企画され、その理由として、講座を学ぶことにより「今まで重かった物がはずれた」と自身の気負いが軽くなっていった変化を語っていただきました。また、「参加者と一緒に歩みながら続けていきたい」と意気込みも語られ、具体的な内容も話していただき、すぐに動き出す行動力の熱意が感じられた発表でした。

講座受講ではいつも気張りすぎで、笑わない堅すぎのぜんちゃんが、普段のぜんちゃんに戻り、笑いを入れたユーモアのある企画発表。本来のぜんちゃんに大変身‼

 

●みんなでワーク
企画発表の後、受講生のたむらさん(田村完浩)のファシリテーターのもと、ご自身が経験した喪失体験、そこから気づいたこと、得られたもの、出会いなどをワークしました。


各テーブルからは和気藹々で楽しみながらワークがされている様子がうかがえ、あっという間の15分でした。
全体共有では、現地・オンラインが改めて一体感ができていることを実感しました。

現地参加者はテーブルごと、オンライン参加者はブレイクアウトルームを使用

⚪語られたもののキーワードが、「グリーフの木」(グリーフツリー)となりました。

●ゲストスピーチ

赤ちゃんやお子さんの突然死や亡くされた家族への精神的援助を行っている、「SIDS家族の会」の理事である菅家裕さんをお招きし、会のことをご自身の経験を交えながら話していただきました。


SIDSとは、何の予兆や既往歴もないまま乳幼児が死に至る原因のわからない病気です。
SIDS家族の会の方々は、「同じような悲しみを経験した家族に手をさしのべよう」という思いから活動されているそうです。スピーチを通して、宗教者としての姿勢を考えさせられると共に、話せる安心の場・参加することで孤独ではないと感じられる場の大切さ、そうした「場づくり」が重要であると再認識しました。

●感想の共有
最後に、今日の「寺つな」全体を振り返って感じたこと、印象に残ったことなどをグループごとに共有しました。

●修了式 終わりの言葉
いつも細やかな配慮で講座を支えてくれた東京講の世話人ともちゃん(山名智子)に受講生を代表して修了証がリヴオン代表てるみんより送られました。

その後、講座の発起人であり、いつもユーモアを交えて場を盛り上げてくれた世話人ひろくん(小田教傳)から「感謝ではじまり感謝で終わる‼ 」といった内容の終わりの言葉がありました。

●閉会 全体写真撮影
てるみんが鳴らすチベタンベルの音を聞いて閉会です。最後の音色に感慨無量‼
オンライン参加者全員をスクリーンに映し出し、取り囲む様に現地参加者が入り、受講生さいとうさん(齋藤崇謙)合図のもと写真撮影。無事に終わって、皆さん良い顔でした。

★閉会後、受講生ほしさん(星光照)・りょうちゃん(小堀良林)の案内のもと、現地参加者はお茶とお菓子を食べながらの茶話会(懇親会)が催されました。

●感想  受講生こっさん(富岡孝彰)あっという間の3時間。受講生それぞれが出来る範囲で準備を重ね、「寺つな」の開催に至りました。その過程で自然と結束が強まり、また、当日はゲストの方との交流があり、グリーフの学びと「つながり」をさらに深めるイベントでありました。

コロナ禍の影響で、途中オンラインの講座をはさみながら、当初の予定より長い約1年に渡って講座が続いてきたことはかえって幸運だったように感じます。現地で集まれないときも、リヴオンの皆さんの声かけや企画が常にありました。そうした、人と思いを繋ぐ「あり方」なしでは、連続講座や「寺つな」の温かい雰囲気は生まれなかったと確信しています。

「グリーフケア・サポートが当たり前にある社会を作りたい」
その思いが集約された一日でした。

筆者(写真中央)

●あとがき 受講生かんちゃん(中村寛秀)
終わってみれば、短く感じた3時間。今日の日のために受講生それぞれが準備を重ね、出来上がったみんなの修了プレゼン発表会。受講生一人ひとりが目的にそい試行錯誤しながら準備を進め、自然と結束が強まりました。
受講生のひとりとして、振り返りの時間を過ごすことができました。
『共に歩み、共に過ごす』、場の大切さを実感した時間でした。

超宗派の今回受講した皆さんがひとつになってグリーフケア・サポートを学び、超宗派の繋がりが生まれたことも素晴らしい。そして、グリーフケア・サポートが当たり前になる寺院が広がり増えていければいいなぁと思います。

ありがとうございました。

筆者

★<再追伸>
※連続講座や今回のオンライン併用開催は、ごっちゃんの多大なる尽力なしでは考えられません!感謝